哲三さん、圭さんの飯碗

日本人にとって一番身近なうつわのひとつである飯碗。

いろいろな窯の飯碗を並べてみると、大まかな形は同じでも、縁の丸みや反り方、高台の大きさ、重さなど違いがたくさんあります。

一見するとなんの変哲も無い太田哲三窯の飯碗。でも、いろいろな飯碗と見比べると、こんなに穏やかな優しさを持つ飯碗はなかなか無いことがわかります。

どこまでも衒(てら)いなく、平穏無事。自分まで手のひらで包まれているような安心感。それは、何百何千と同じものを作り続けてきた、手が記憶している形に備わる無意識の美。ひとつだけの作品として作られたものには無い無頓着さが安心感につながるのでしょう。

同じものを作っているにも関わらず、二つと同じものが無いうつわの面白さ。特に今回入荷した飴色の飯碗は窯変に趣があります。

窯の中で降った灰が見込みに味わい深い跡を残しています。うつわに景色が見える。それが民藝のうつわの愉しさだと思います。

小石原焼・太田哲三窯(福岡)

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