太田哲三窯より定番の刷毛目飯碗が届きました。
哲三さん・圭さんのつくる飯碗にはいつもハッとさせられます。豪奢な美術品や芸術品のように目を引く色や技巧や装飾があるわけではありません。変わったところもありません。その平穏無事な美しさに息を呑むのです。
一瞬ロクロ仕事ということを忘れてしまう端正な形。でもその中には機械製品と確実に異なる柔らかい曲線と温もりがあります。リズミカルな刷毛目には始まりと終わりがありません。「よし。ひとつの作品を作るぞ」と自我の出たものには必ず始まりと終わりが見えます。でもこの刷毛目に見えるのは繰り返しの仕事だからこそ生まれる欲のなさ。何十、何百という流れのなかにあるひとつの飯碗。
このような素朴で誠実な飯碗を手にできるのは些細なことのようで、実はとても稀有なことだと思います。