今回入荷した出西窯の器を見て、我ながら白い器が多いなと驚きました。
白い器にこだわる理由はいくつかあります。
飽きずに長く使える。洋食器や他の窯の器と合わせやすい。ものの持つ形が見えやすい。経年変化を楽しめる。などなど。
でも白い器の一番面白いな、と思う点は機械製品ではないからこそ伝わる優しさがあること。そして、その土地やその焼成だけの「一瞬」に出会えるから。
白一色だとシャープな印象になりがちですが、民藝の白い器はひとつひとつに表情があり、釉薬の流れや焼成による個性が現れます。また、その土地の特徴が分かりやすく、伊賀の澄んだ白、龍門司の黄味がかった白、小鹿田焼・小石原焼の灰色がかった白など見比べると白の違いがよく分かります。また、同じ窯でも酸化焼成、還元焼成といった焼成時の酸素量で色はまったく異なります。
絵付けの彩り豊かな器に比べると目立たない白い器ですが、目を凝らせば白一色のなかに色々な景色が見えてきます。ぜひ今回入荷した出西窯の優しい白にも触れてみてください。心がじんわり癒されます。