今週末よりオンラインショップに小代焼・かじや窯の器が並びます。
小代焼は熊本県の北部で焼かれる陶器です。1632年(寛永9年)、細川忠利が豊前から肥後へ国替えとなった際、朝鮮出兵で連れ帰った陶工に小岱山麓でやきものをつくらせたことから始まりました。明治に入り一度途絶えましたが、昭和初期に再興。周辺の農家や漁師のために大物の容器類をつくるようになり、次第に食器類および焼酎と日本酒両方をたしなむ土地柄ゆえの雲助などの制作へと転化されていきました。
小代焼を代表する作り手である、ふもと窯の井上泰秋さん。「打ち掛け流し」と呼ばれる、打ち水をするように柄杓で自由奔放な文様を生み出す技法は小代焼の特徴にもなっています。また、息子である尚之さんが得意とするのは、スポイト状の筒を使い器の表面に模様を描くスリップウエアという技法。今なお登り窯で作陶を続けるふもと窯の器は多くの方に小代焼の魅力を伝えてきました。
かじや窯の米原暁雄さんは、そのふもと窯で泰秋さん・尚之さんと修行されたのち、2015年に独立されました。梶屋という地名をとって「かじや窯」と名付けた工房は、長閑な田園風景の広がるとても気持ちのよい場所にあります。
鳥取生まれであり、東京で過ごした時期もある米原さんの器には、小代焼の伝統、山陰のうつわの雰囲気と現代の感覚がバランス良く調和しています。陶土には天草の粘土と地元・山鹿の赤土をブレンドしており、白い釉薬(糠釉)には奥様のご実家で育てているお米の藁を燃やした藁灰を使っているそうです。余計な装飾のない器には、米原さんの温かい人柄を映し出したような優しい雰囲気があります。
今回入荷したのは、ピッチャーや花入れなどの白い器、そして呉須と飴色の小さな器です。それぞれの色の濃淡や浮き出た点が美しく、形の良さも際立ちます。少量ではありますが、どうぞ楽しみにしていてください。